なぜ?仮契約後に見積もりが上がるのか。一級建築士HIITが明かす「家づくりの予算」で失敗しない方法
家づくりを考え始めたとき、真っ先に気になるのが「お金」のことですよね 💰 工務店から初めて「概算見積もり」をもらったとき、
「この金額って、本当に最終的な総額なの?」 「『〇〇工事 一式』って書いてあるけど、具体的に何が含まれているんだろう…」 「注文住宅の見積もりって、分かりにくいな…」
こんな不安を感じてしまう方も少なくないようです。
はじめまして! 17年間の実務経験を持つ一級建築士のHIIT(ヒート)です。 普段は木造住宅の設計や省エネ計算、時にはFP(ファイナンシャルプランナー)3級の知識を活かして住宅ローンのご相談にも乗っています。
実は、私自身も工務店で見積もりを作成していた経験があるんですよ。 だからこそ、見積もりを見て不安になる建て主さん(施主様)の気持ちも、そして「一式」と書かざるを得ない工務店側の事情も、両方よく分かります。
この記事では、家づくりで最もトラブルになりやすい「見積もりと予算のズレ」という問題に焦点を当てます。 なぜ見積もりが分かりにくいのか、そして予算オーバーで理想を諦める…という事態を防ぐために、皆さんが「今」何をすべきかを具体的に解説しますね。
この記事を読み終わる頃には、見積書を見る目が変わり、自信を持って工務店さんと話ができるようになりますよ。一緒に学んでいきましょう! 🏠✨
なぜ?注文住宅の見積もりは「分かりにくい」のか
そもそも、なぜ注文住宅の見積もりは「一式」ばかりで分かりにくいのでしょうか? それには、家づくりの「契約までの流れ」が大きく関係しています。
家づくりの「契約までの流れ」と「概算見積」のリアル
工務店さんにもよりますが、契約までは一般的に以下のようなステップで進みます。
- 初回打ち合わせ(ご家族の要望や予算をヒアリング)
- ファーストプランニング(簡単な間取り図と「概算見積書」の提示)
- 仮契約(「この工務店と家づくりを進めます」という意思決定 ※ここで費用が発生する場合も)
- 仕様(しよう)決定(キッチン、お風呂、壁紙、造作家具など詳細な打ち合わせ)
- 詳細見積書の提示
- 本契約(工事請負契約)
皆さんが最初にもらう「概算見積書」は、まだステップ2の段階です。 実はこの時点では、キッチンやお風呂のグレード、どんな壁紙を使うか、造作の本棚をどうするか…といった詳細が何も決まっていません。
私たち作り手側も、過去の似たようなお家の見積もりを参考にしたり、自動積算ソフトを使ったりして、「だいたい、これくらいになるはず」という金額をお出しするしかありません。 だから、どうしても「概算見積は正確ではない」ものになり、内訳も「〇〇工事 一式」という大まかな表記が多くなってしまうんです。
これが、皆さんが「見積もりが分かりにくい」と感じる一番の理由なんですよ。
【一番の落とし穴】「仮契約」の後に予算が跳ね上がるワケ
そして、家づくりで最もトラブルになりやすいのが、ステップ3の「仮契約」の後です。
仮契約を済ませ、いよいよ「仕様決め」の打ち合わせが始まると、夢が膨らみますよね。 「キッチンは最新の食洗機付きがいい!」 「お風呂は肩まで浸かれる広い浴槽で、テレビも付けたい!」 「リビングには、床から天井までの大きな本棚を造作したい!」
こうした理想をどんどん詰め込んで、ウキウキしながら出てきた「詳細見積書」(ステップ5)を見て、びっくり…!
「概算見積もりより、500万円も上がってる!?」
こんなことが、本当に高い確率で起こるんです。 というのも、建て主の皆さんもお仕事をしながら打ち合わせを重ねることが多く、本契約まで半年から1年以上かかることも珍しくありません。その長い期間で、理想はどんどん膨らんでいきます。
そして、予算が足りずに、あれほど憧れた理想の造作本棚や最新キッチンを諦めなければならなくなる…。これが、建て主さんにとって一番悲しい瞬間であり、トラブルの大きな原因となります。
後悔しないために!「概算見積もり」で見極める3つのポイント
では、どうすればこの「悲しい落とし穴」を避けられるのでしょうか? それは、ステップ2の「概算見積もり」の段階で、いかに本契約時の金額に近い状態まで持っていけるかが重要になります。
そのために、皆さんが工務店に確認すべき「3つのポイント」をお伝えします!
✅ ポイント1:「標準仕様書」を見せてもらう
「一式」と書かれた見積もりでも、その工務店が「標準」として想定している設備のグレードがあるはずです。
「この概算見積もりは、どのような仕様(キッチン、お風呂、断熱材など)を標準として計算されていますか? 『標準仕様書』のような資料があれば見せてください」
と、必ず聞いてみましょう。
- 誠実な工務店 😊:
- 「うちの標準仕様は、キッチンはAメーカーのこのグレード、床材はB社のこれで計算しています」と、具体的な資料(標準仕様書)を見せてくれます。
- 注意が必要な工務店 🤔:
- 「それは契約してからでないと…」と、仕様書を見せてくれない。
標準仕様が分かれば、「自分たちが希望するグレードは、この標準より上か下か」が判断でき、後の金額アップをある程度予測できます。
✅ ポイント2:「こだわりたい部分」の概算費用を“別で”聞いておく
家族会議で、「これだけは絶対に譲れない!」というこだわりポイントはありますか?
「リビングに、壁一面の大きな造作本棚が絶対に欲しいんです」 「キッチンは、〇〇(メーカー名)のアイランド型に憧れています」
もし決まっているなら、概算見積もりとは別に、「これを採用した場合、いくらぐらいプラスになりますか?」と具体的に聞いておきましょう。
例えば「その本棚なら、概算見積にプラス80万円くらい見ておいた方が良いですね」と教えてもらえれば、後で「そんなにかかると思わなかった!」という事態を防げます。
✅ ポイント3:安すぎる見積もりの「ワナ」に注意する
複数の会社を比較する「相見積もり」は大切ですが、その際、極端に安い見積もりには注意が必要です。
私も見積もりを作っていたから分かりますが、安さには必ず理由があります。
- 契約を取りたいがために、わざと最低限の仕様(安いグレード)で概算を出している。
- 本来必要な工事(例えば、古い家の解体費や地盤改良費)をわざと抜いておき、後で「追加費用」として請求する。
- 見えない部分(壁の中の断熱材や構造)の品質を落としている。
「なぜ他社よりこんなに安いのですか?」と堂々と質問し、納得できる説明(例:「自社で木材を仕入れているから」など)が得られるかを確認しましょう。
見積もりで後悔しないための「心構え」
ここまで具体的な対策をお伝えしましたが、建て主の皆さんもお仕事をしながら、限られた時間の中で打ち合わせを進めるのは本当に大変です。 すべての仕様を概算見積の段階で完璧に決めるのは、現実的ではありません。
そこで、私がFPの知識も踏まえてアドバイスしたいのが、「予算にある程度の“ゆとり(予備の枠)”を持っておく」という心構えです。
例えば、「概算見積プラス100万円~200万円」をあらかじめ「こだわりを実現するための予算枠」として確保しておくのです。 そして、「最終的に、この金額(概算+ゆとり分)の範囲内で収まればOK!」と、ある程度おおらかに構えることも、楽しく家づくりを進める上では大切だったりしますよ。
まとめ
今回は、注文住宅の見積もりで後悔しないための、具体的なチェックポイントをお伝えしました。
- 家づくりの落とし穴を知ろう!
- 最初の「概算見積」は正確ではない。
- 「仮契約」後に仕様を決めると、理想を詰め込みすぎて予算オーバーになりがち。
- 「概算」の段階でやるべき3つの行動 ✅
- 「標準仕様書」を見せてもらい、見積もりの前提条件を確認する。
- 「絶対譲れないこだわり」は、別で概算費用を聞いておく。
- 安すぎる見積もりは理由を確認し、相見積もりで「相場観」を養う。
- 大切な心構え 💡
- 完璧を目指しすぎず、「予算にゆとり(予備の枠)」を持っておく。
見積書は、家づくりの「設計図」と同じくらい大切な書類です。 私たち建築士は、皆さんの大切な家づくりが成功するよう、誠実にお手伝いするのが仕事です。不安な点や疑問点は遠慮なくプロにぶつけて、納得のいく家づくりを進めてくださいね!
